基本的に主婦。シンガーソングライター。          (画像Cherryさん)


by koyomidon
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Sさんの死。

三月二日になって、
ようやく、その方(Sさん)が亡くなられたことを知った。
Sさんは私の家のすぐ近くの方で、
嫁にきて二十年以上経つが、
実は、そんなに親しいわけではなかった。
数年前にご主人を亡くされたのだが、
ご主人の介護を数年されていたと思う。

近所のごみの収集場所には、
Sさん宅、我が家を含めて四件の家でごみを出す。
燃えるゴミはただ出してもカラスの被害で
惨憺たる状態になるので、
生ゴミの日には私がビニールシートをかけて出すようになった。
ゴミ収集車が生ゴミを回収していくと、私がまたそのかけていたシートを
たたんでしまいにいく、ということを長年やっていた。

週に二回の生ゴミ収集の日は朝一番にいつもシートをもってゴミを出しに
いかないといけなくなった。
シートを出し遅れると、
もうすでに生ゴミをそのまま出してしまう人もあり、
そうして、カラスにやられても、そのやられたゴミの始末を
出したその人がする、ということがなかった。
共同責任のようなことがあり、
仕方なく、いつもそんな時もかたずけるのは私だが、
Sさんもやってくれたりしていた。
それでもシートを出すのもしまうのも私であることにかわりはなかった。
でも三年くらい前から、
Sさんがいつもそんな状態をカバーしてくださるようになった。
シートをしまい忘れるといつのまにかそのシートを
たたんでしまっていてくれるようになった。
自然に「ありがとうございます」、と声をかわすようになり、
いつもSさんは笑いながら「いいの、いいの、私のリハビリなんだから~」と
おっしゃって、快くゴミのシートをしまってくれた。
「シート出せない時は、私が出しておくからね~。」と言って下さり、
実際に私がシートをかけ忘れたり遅れたりしていた時は
それをやってくださっていて本当にありがたかった。

以前よりはずっと朝の大変さは少なくなった。
Sさんはいつも笑ってシートを始末し続けてくれた。
私も自分でかたずけに行かなきゃと思っていたのだが、
ゴミ収集車が来るとすぐにもう、Sさんはシートをしまってくれていた。
今年の一月の終わり頃だったろうか、
突然、ゴミのシートが放置されたままになるようになった。
なんだか、私は少し悲しかった。
ご近所の方に、
そんな風な心遣いをいただくことがあんまりなかったので、
私は、Sさんの優しさが本当に嬉しかったのだと思う。
けれども、ゴミ収集車が去った後のシートは
打ちすてられた感じで無残だった。
そのシートの様子が悲しかった。
もうSさんのようにはだれも助けてくれないのだなあと悲しかった。
はじめ、私は急にどうしてそんなことになったのだろうと、
「Sさんはもうシートをかたずけてはくれないのかなあ…、」
と、自分勝手に考えた。
そして、「Sさん、もしかしたら、具合が悪くなられたのかもしれないなあ」と
思い至ったけれども、お元気そうだったから、
そんな風に亡くなられるくらいにお悪るかったなんて思いもしなかった。
ご近所に車がたくさん止まっていて、
何かあったのかあ、どなたか亡くなったのかなあと思ったけれども
まだ、その方だと思わなかった。

朝、また生ゴミの日がきて、
いつものようにゴミを出してシートをかけて、
Sさんの家の玄関の方をみると、
なんだか、日程の書いてある一枚の紙が貼ってある。
ドキッとしてまさかと思いつつ、近くにいくと、
お葬式の日程だった。
S家の…と書いてはあったけれども
それでもまだ、私はもしかしたら違う方かもしれない、って
一人暮らしでいらしたのに、そう思った。
家に戻り、地元の新聞のお知らせ欄をみたら、
Sさんの名前があった。年齢も大体あっている。
Sさん、亡くなったんだ。
そう思ったら、
とても、ショックで、そうしているうちに涙があふれて止まらなかった。
Sさんにお世話になったことは、
本当に些細なことだったのかもしれないけれども、
その優しさにいかに自分が助けられて暖かい思いをいだいていたのかということを
思い知った。
そうして、なんだか「ごめんなさい、ごめんなさい、そんなにお悪い状態と
知らないでいつもゴミのことで甘えていてごめんなさい」ってつぶやいていた。

火葬の前に、
お別れをした。
Sさんにはお子さんがいらっしゃらなかったようで、
喪主はご親戚の方だった。
二十年以上もご近所だったのに、
言葉をそんなにかわすこともなかった。
でも本当にありがったかったです。
優しいしぐさとお顔を忘れません。
Sさん、本当にありがとうございました。
どうぞ、どうぞ安らかに。
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by koyomidon | 2007-03-04 06:13 | 日記